営業という仕事は「向いている」「向いていない」が出やすい仕事です。
というよりやっている本人がそれを感じやすい仕事といったほうがいいでしょう。
自分で「向いてない」と思っている人にとっては営業は辛い仕事になります。
お客様のところに行きたくない。
インターホンを押したくない。
お客様の家を出てきて自分の不甲斐なさにため息をつく。
どうせなら留守だったらいいのに。
――そんなふうに思ってしまうことはありませんか?
分かります、その気持ち。
おそらくほかの誰よりも。
なぜなら私こそ、「向いていない」と思いながらその営業を25年の長きにわたり続けてきた人間だからです。
今回はその私が、営業を続けるべきかどうか悩んでいるあなたに、断固とした「ファイナルアンサー」を伝えます。
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目次
向いていない仕事を無理して続けても得られるものはない
もちろん、これは極論です。
私とてただ無策に「オレは営業に向いてない」と嘆いてばかりいたわけではありません。
いや、それどころか、どうしたら自分のような人間でも売れるようになるだろうかということを毎日のように考えていました。
売れる人の話も何度も聴きましたし、営業に関する本は腐るほど読みました。そうして学んだことを実際の営業活動に取り入れていました。
ですからまったく得られるものがなかったというわけではなく、話し方や聞き方、その他のテクニックなど、細かい部分では習得したものもありました。
でも、ここで言いたいのはそういうことではないのです。
いくら習得するものがあったとしても、
「向いていない」という根本的な気持ちが変わらないかぎりは何も変わらない
ということなんです。
ここであなたに質問です。
あなたは自分が営業に向いていないと思いつつ、それでもなんとか心を奮い立たせ、日々営業にいそしんでいます。成績は中の下、あるいは下の上といったところでしょうか?なんだかんだでこの仕事を続けて10年がたっているとしましょう。10年が長ければ5年でもかまいません。
このままずっと営業をやり続けて、10年後は自分はどうなっていると思いますか?
ちょっと考えてみてください。
「だんだんと売れるようになり成績が上がる」
「営業に対する苦手意識がなくなる」
「向いてないとは思わなくなる。営業って楽しい!と思えるようになる」
…どうですか?そんなふうに感じられますか?
…たぶんそんなふうには思えないですよね。
それが答えなのです。
あなたの営業に対する気持ちは10年後も今とまったく変わらない。
今と同じように、自分は営業に向いてないと思いながら、苦手な営業を続けていることでしょう。
残酷なことを言うようですが間違いありません。
今から10年分年をとり、10年分の時間を失い、10年分の生気を吸い取られてしまった自分と向かい合うことになります。
「向いていない」という気持ちを抱えながら苦手な仕事を続けることは確実にあなたの心をむしばんでいきます。
25年間、「向いていない」営業を続けてきた。
ここで少しだけ私の話をします。
営業部に配属された?!
私が某小売店に就職したのは1990年代初頭。弾けたとはいえバブルの余韻がまだまだ強く残っていた頃です。
浮かれていた世の中の影響というわけではないですが、私は大して深い考えもなく、店頭での接客業を考えてその会社を選びました。それまでやっていた雑貨屋のアルバイトの延長のような気持ちでした。
が、驚いたことに配属されたのは営業部。しかも個人のお宅廻り。
は?
みたいな感じでした。営業?
子供のころから「セールスマンにだけはなりたくない」と考えていたのにこともあろうに生まれて初めて就く仕事が営業となってしまったのです。
もちろんいやでした。やりたくない。
でもやらざるを得ませんでした。
当時の社会の風潮もそうでしたし、せっかく苦労して入社した会社なのですから、辞めるという選択肢はありませんでした。
営業の仕事を始める
景気がよかった。
当時のことをふりかえるとまさにこれにつきます。
私のような「向いてない」人間の営業活動でも売れたのです。それなりの数字になるような程度には。
また慣れもありました。
苦手でもずっと続けているととりあえず形のようなものができてきます。それをくりかえしていればあの頃は仕事として成り立った。
ある意味、この原体験が、営業という自分に向いていない仕事を、自分の想像を超えて長く続けさせるもとになったともいえます。
向いてないのに営業をずっと続けたワケ
21世紀に入り、気がついたら30歳を越えていました。
この頃から次第に会社の業績が危うくなり、ある時、外部の資本を受け入れる形で非常に大きな組織の再編成がなされました。
それまでの穏やかだった会社の雰囲気はこれを機に一変、営業部も他と統合され、ピリピリとした体育会系組織に変わってしまったのです。
「向いていない」私でもなんとか営業を務められた時代はこのときに終わりを告げました。
ノルマの数字は毎年どんどんと上がっていき、もはや私の営業では目標に届かないことが多くなってきました。
再編成の過程で上司も何度か変わり、とんでもないクソ上司を迎えることにもなり、
私は次第に鬱状態になっていきました。
「向いてない」という気持ちを抱えながら、毎日、馬車馬のように追い立てられることに、そして精神的に追いつめられることに、心の立て直しができなくなっていったのです。
それなのにやめませんでした。
というかやめられなかった。
もう結婚して家庭もできていましたし、30を過ぎて何の技術もなく、ましてや営業も苦手な人間など雇ってくれるところなどないと思っていました。辞めても仕事なんてない。苦しくてもこの会社で頑張るしかないと。
特に当時はそうだったのです。インターネットも今ほど発達していませんし、「転職=難易度高」でした。
そうしてそんな状態のまま、結果的に20年以上も続けてしまったのです。
40代後半で異動の希望、そして新しい仕事へ
気がついたら40代半ば。もう正真正銘のオヤジです。
「向いていない」と思いながらなんと長い間、営業を続けてきたのでしょう!
あと数年で50歳。この会社に勤めるのも半分以上、いや3分の2以上が過ぎてしまったわけです。
異動の希望
このときになって思いました。
このままでいいのか?
確かにもうこの年まできたらあとはズルズルと続けていくことは可能かもしれない。「向いてない」ことを我慢しながら続けていくことはできるのかもしれない。ここまでやってきたんだから。
でも…
本当にそれでいいの?
何度も自分に問いかけました。
答えは否、でした。
向いていないと思いながらこれ以上営業をやりたくない。
そんな働き方、生き方は終わりにしたい。
そう考えた私は、上司が理解ある人に替わった時、思いきって異動を直訴したのです。
それから2年後、私は異動になりました。希望が通ったのです。
新しい仕事の始まり
新しい職場は店頭での販売でした。
今ではまた事情が変わってきていますが、それでも当時は生まれて初めて、
仕事って楽しい!
と思いました。そんなことを思える自分が信じられませんでした。変わってよかったと心の底から思いました。
その後は人間関係やら何やらで状況も変わり、最初の頃のように手放しで楽しいと思える状態ではなくなりましたが、
じゃあ前の仕事のほうがよかったかというと、
そんなことは1㎜も感じません。
まったく戻りたいとは思いません。
異動した頃は、最初はひょっとしたら営業を懐かしく思うこと、もう一度やってもいいかな、なんて思うこともあるかと想像していましたが、
まったくもってゼロです。
年齢は関係ない
私は47歳にして職場を替えました。
新しいことを始めるのに年齢は関係ないのです。
少なくとも自分だけはそう思っているべき。
異動だから転職よりは気が楽だよな、と言われたらその通りかもしれません。
でも営業とはまったく業務が違うので完全に0からのスタートです。
知っている人は1人もいません。まわりは若い人ばかり。40代後半の私は完全なジジイです。もちろん上司も一回り以上若い。
なので精神上きついこともあります。異動しなければする必要のなかった苦労もあります。
でも、そんなの当たり前ですよね。どこに行ったって100%はない。イヤなこともあるでしょう。
それを差し引いたって
営業より断然いい。
「向いていないこと」をやらなければならないという重圧から解放されたのですから。
年齢のことをあれこれ考えたって前に進めません。
向いていない仕事には早々に見切りをつけよう
はっきり言いましょう。
向いていないものは向いていないのです。
向いていないと思う仕事をいつまでも続ける必要はありません。
それはあなたから多くのものを奪い去っていきます。
「向いていない」と自分で思う仕事をしていれば、10年後、あなたは今よりもっと疲れ果てた大人になります。
この記事に目をとめてくれたあなたはこう思っているのではないでしょうか?
営業に向いていないと思うけれど仕事を変える決心がつかない。
…不安ですよね?仕事を変えるのって。
でも、
そうしている間にもどんどん時間は流れていきます。
私ももっと早く行動に移せばよかったと今になって思います。結果がすぐ出るかどうかは別にして。
大丈夫です。
47歳の私ができたのですからあなたにもきっとできます。
「向いていない」と思いながら苦手な営業を続けるよりも、
自分が生き生きと取り組める仕事を探すべきです。
もちろん、「向いてない」と嘆くだけじゃ前に進めませんが、
もし何か他にやりたい職種があるのなら、思いきってトライすることをおすすめします。
25年間、「向いていない」と思いながら営業を続けてきた私からのアドバイスです。
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